Sunday, October 19, 2008

町田 肇 (Hajime Machida)





町田肇 (Hajime Machida)
イラストレーター。

町田肇が描く人物は宮崎駿が描く、あるいは黒田硫黄が描くキャラクターに似ていなくもない。
そんな人物たちが肥大化した脂肪の様なといえばいいのか、流れ出した溶岩流の様なといえばいいのか、とにかく奇妙なボディスーツや服を身に纏いどこか近未来チックな世界で生活している。
描かれたすべての人々が奇天烈な服を着ているというのではないが、とにかく印象に残る。
近未来といっても、どこか懐かしい匂いのする未来像。
一般に未来像といえば、どちらかというときれいな直線と曲線によって構成されているものだ。
決して町田肇の描く様なブクブクモコモコした不恰好なものではない。
鋳造技術や鍛造技術が成熟しないまま発達をしていった未来社会。
町田肇はそういった世界を描いているように見える。
滑らかな直線や曲線を美しいとする世界、あるいはそういったものを踏まえて空想されてきた未来像からすれば、町田肇の描く世界はあまりに美的感覚に乏しということになるのかもしれない。
だけど、町田肇はゴシックやモダニズムを経て出来上がったそんな美的感覚なんてクソ喰らえとばかりにその世界を作り上げていく。
そこがなんとも魅力的。

という文章を思い込みだけで書き上げた後、ちょっと不安になったので、町田肇ご本人にいくつかの質問をしてみた。
例えば、ちょっと懐かしさの漂う人物について、宮崎駿や黒田硫黄の描く人物と何か関係があるのかという不躾な質問。
頂いた答えは、宮崎作品には子供の頃から作品に接していることもあって、無意識のうちに刷り込まれているのかも知れないが、宮崎駿を強く意識したことは特にないというものだった。

SF 的なセンスについてはどうかというと、沓澤龍一郎 (Ryuichirou Kutsuzawa、Ryuichiro Kutsuzawa)、エンキ・ビラル (Enki Bilal) といった S.M.H やヘビーメタルを舞台に活躍してきたアーティスト達からの影響が強いかもしれない。
そして、それ以外のアーティストを思いつくままに挙げていくと、玉野大介 (Tamano Daisuke)、グイド・クレパックス (Guido Crepax)、野口竜 (Ryu Noguchi)、パーヴェル・フィローノフ (Pavel Filonov)、湊谷夢吉 (Yumekichi Minatoya) などの作品に魅かれるとのこと。

名前の挙がったアーティストのうち、海外のアーティストは名前から作品を思い浮かべることが出来る。
しかし邦人アーティストの、大好きな漫画家の湊谷夢吉を除く沓澤龍一郎、玉野大介、野口竜の三人についてはいったいどんな活動をしている人なのかさっぱり見当も付かない。
海外のサイトやブログばかりをふらついているので当り前ではあるのだが、自分が国内事情について情報の持ち合わせがあまりに少ないことに改めて驚くばかりだ。
 沓澤龍一郎って名前を見て、あのかっこいい短歌書く人か?と藤原龍一郎と間違える振りをしてみたものの、ツッコんでくれる相手がいるでもなく、ただ淋しいだけ。

という訳で、各アーティストについて調べてみたところ、沓澤龍一郎は寡作のイラストレーター兼漫画家だという。
「製作中の読み切りを2本、完成させれば、いよいよリリース」 という近況からそろそろ6年経つのに、肝心の作品集が未だに未刊という状態から、怨嗟の声がファンの中からチョロチョロ上がっているという素晴らしさ。
と書いた後、いしかわじゅんの 『漫画ノート』 でその名前を見かけた気がしたので確認してみたところ、いしかわじゅんが沓澤龍一郎の未刊の作品 『魔法使いが始まる』 について語っていた。
と、幾分情報の持ち合わせは増えたものの、検索してもほとんど作品を探し出せなかったので、沓澤龍一郎はボクにとって未だに未知の人であることに変わりはない。

玉野大介
うは、超好み。
後でじっくり鑑賞予定。

野口竜は幼い頃にそれとは知らずブラウン管越しに随分とお世話になっていた人だった。

湊谷夢吉は昔どうしても作品が読みたくて古本屋で探し回ったことがあったなぁ。
久しぶりに読み返したくなった。

脱線しすぎたので元に戻そう。
描く作品の世界観については、ざっくりと考えるだけで細かな設定は特になく、「舞台は地球かもしれないし、別の惑星かもしれません」 とのこと。
設定によって物語を紡ぐタイプではないということが判明したものの、その描かれた世界を見ていると、例えば機械産業の歴史とか服飾史なんてものがどうなってるのか非常に興味が湧いて来るし、過去から未来までの世界観やコンセプトをカッチリ作り上げ、クロニクル形式でその歴史を見せて欲しいという思いが募る。

ビジュアル的にそういった架空の産業やモードの歴史を見せてくれる作品って何かあったっけと考えてみると、永野護の 『ファイブスター物語』 がまさしくそれだと思い当たる。
あれって一応ファティマの来ているスーツなんてものにもちゃんと流行があって、確かキャラクターの中に有名なデザイナーがひとりかふたりいたはず。
そういや、前々から気になっていたんだけど、永野護がデザインする服と現実社会の服飾、ファッション、モードについて考察した人っているんだろうか?
永野護の作品における少女漫画の影響みたいな文章ってのは昔どこかで読んだ記憶があるが、ファッションについてあれこれ述べたモノは読んだことがない。
もしまだ誰もやっていないのなら、面白そうなので誰かやってくれないでしょうかね。

baby bad bug

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